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部下が素直に聞き入れる!関係性を壊さないフィードバックの伝え方

Tags: コミュニケーション, フィードバック, 部下育成, リーダーシップ, チームマネジメント

チームリーダーの皆さんは、部下へのフィードバックについて、次のような悩みを抱えたことはありませんか?

フィードバックは、部下の成長を促し、チーム全体のパフォーマンスを高めるために欠かせないコミュニケーションです。しかし、その伝え方を間違えると、関係性を損ねたり、部下を萎縮させてしまったりする可能性があります。

この記事では、リーダーが自信を持って効果的なフィードバックを行い、部下の成長と信頼関係を同時に築くための具体的な方法を、実践的なフレーズやケーススタディを交えてご紹介します。

なぜフィードバックは難しいのか?

フィードバックが難しく感じられる主な理由はいくつかあります。

  1. 伝え方と受け取り方のギャップ: 伝える側は建設的な意図でも、受け手は批判と捉えてしまうことがあります。これは、言葉の選び方、声のトーン、表情などの非言語コミュニケーションが大きく影響します。
  2. 感情的な反応: 人は、自分の行動や評価に関わる情報に対して感情的に反応しやすいものです。特に改善点に関するフィードバックは、防衛的になったり、反発心を抱いたりする可能性があります。
  3. 一方通行になりがち: フィードバックが「評価の通告」のような一方的なものになると、部下は聞く耳を持たなくなり、対話が生まれにくくなります。
  4. 具体的な伝え方が分からない: 漠然とした評価(「もっと頑張って」「チームワークが足りない」など)では、部下は何をどう改善すれば良いか分かりません。

これらの難しさを乗り越えるためには、「相手に伝える」という視点だけでなく、「相手が受け取り、活かせる」という視点を持つことが重要です。

効果的なフィードバックの基本原則

部下の成長に繋がり、関係性を良好に保つためのフィードバックには、いくつかの基本原則があります。

実践!具体的なフィードバックの手法とフレーズ例

ポジティブフィードバック(承認・称賛)

良い点や成果を伝えることは、部下の自信やモチベーションを高め、望ましい行動を定着させるために非常に重要です。

ポイント: 具体的な行動とその結果(チームへの貢献など)を明確に伝えます。

フレーズ例:

改善点フィードバック

部下の成長を促し、パフォーマンス向上に繋げるためのフィードバックです。感情的にならず、具体的な事実に基づいて、建設的な提案を行います。

効果的な手法:SBIモデル

SBIモデルは、「状況(Situation)」「行動(Behavior)」「影響(Impact)」の3つの要素でフィードバックを構成する手法です。非常に具体的で、受け手が事実として受け止めやすくなります。

  1. Situation(状況): いつ、どこで、どのような状況だったのかを客観的に伝えます。
  2. Behavior(行動): その状況で、具体的にどのような行動をとったのかを伝えます。(解釈や推測ではなく、事実として観察できた行動)
  3. Impact(影響): その行動が、自分や周囲、チーム、仕事の成果にどのような影響を与えたのかを伝えます。

SBIモデルを用いたフィードバック例(遅刻が多い部下へのフィードバック):

「〇〇さん、少しお話しできますか。(前置き) (S: 状況) 先週の月曜日と水曜日、そして今朝も、始業時間の9時を少し過ぎてからの出社だったと思います。 (B: 行動) ええ、10分から15分程度の遅れでした。 (I: 影響) 朝一番のMTGに〇〇さんが不在だと、その場で確認したいことができず、他のメンバーが業務を開始するのに遅れが出てしまいます。また、お客様からの電話を他のメンバーが対応することになり、それぞれの業務が中断されてしまうという影響が出ています。」

この後に続けること:

SBIモデルを用いたフィードバック例(報告が不足しがちな部下へのフィードバック):

「〇〇さん、先日担当してもらったA社への提案資料の件で確認させてください。(前置き) (S: 状況) 提案書の提出期限が迫っているにも関わらず、資料作成の進捗について私への報告がありませんでした。(B: 行動) 最終的に資料は期日内に提出されましたが、途中で内容の確認や方向性のすり合わせをする機会が持てませんでした。 (I: 影響) そのため、提案資料の一部に顧客のニーズとのズレが生じてしまい、提出後の修正に時間がかかってしまいました。もし途中で進捗を報告してもらえていれば、早い段階で軌道修正できて、結果的に無駄な作業を減らせたと思います。」

この後に続けること:

フレーズの言い換え表現

改善点を伝える際に、相手に受け入れられやすくなる言い換え表現をいくつかご紹介します。

ケーススタディ:チーム内のコミュニケーション活性化に関するフィードバック

状況: あるチームでは、一部のメンバーからの発言が少なく、会議で活発な意見交換ができていない状況です。チームリーダーは、もっと多様な意見を引き出し、メンバー一人ひとりが主体的に関わるチームにしたいと考えています。

リーダーのフィードバック:

フィードバック後のフォローアップ

フィードバックは伝えて終わりではありません。部下がフィードバックを活かせるよう、継続的な関わりが重要です。

まとめ

効果的なフィードバックは、単なる評価ではなく、部下の成長をサポートし、チームの信頼関係を築くための重要なコミュニケーションスキルです。

「目的を明確に、タイムリーに、具体的に、行動に焦点を当て、建設的なトーンで、そして双方向の対話を促す」。これらの原則を意識し、SBIモデルのようなフレームワークや具体的なフレーズを活用することで、フィードバックの質は格段に向上します。

部下一人ひとりの個性や状況に合わせた伝え方を工夫しながら、根気強く対話を重ねることで、きっとあなたのフィードバックは部下の心に響き、チーム全体の成長へと繋がっていくはずです。ぜひ、今日から一つずつ実践してみてください。